シリーズ・ザ・ベーシック・オブ・コモディティ
「石油の情報の取り方」Part.3 〜変動要因の取り方〜
変動要因の中でも最も大事な需給と在庫統計に関しては、前回少し触れました。さらに、大局的なトレンドを把握する上で石油需給の構造的な変化を分析する必要があります。狭義では、国際石油マーケットには日々さまざまな材料があり、これが刺激となって売りと買いが交錯して相場が形成されます。
相場の大勢を見る上で重要なのは、前述の通り需給の構造的な問題です。NY原油相場が1989年から1999年にかけて低迷し、一時バレル当り10ドル台の安値圏まで下げましたが、その後は持続的な上昇相場へと転換、2006年7月には80ドル近くまで相場が高騰しました。この原因について、専門家の間でさまざまな角度から分析されていますが、顕著な供給不足に陥ったことによるものと一般的に考えられています。さらにその原因の一つとして、中国をはじめとした世界的な石油需要の増加が指摘さています。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2006年の世界石油需要は日量8480万バレルで、2005年の8359万バレルから120万バレルほど増加する見通しです。このうち、中国が700万バレルで世界全体の8%を占めるとともに、世界第2位の消費大国にのし上がってきています。中国の石油消費は、96年の360万バレルから毎年10%前後の拡大となっています。この中国以外でも、インドなど新興のエネルギー消費大国の伸びも無視できなくなっています。
このような需給ファンダメンタルズの他に重要なのは、OPEC(石油輸出国機構)の動きです。OPECは中東を中心とした産油国が集まり、1960年に設立(本部:オーストリアのウィーン)され、産油国側の利益を守る目的で生産量や価格調整をする役割を果たしています。近年はロシアやメキシコの油田、北海油田といった非OPEC諸国の生産量が増えたため影響力が相対的に低下していると言われるものの、足元のOPEC加盟国の原油生産量は世界の40%近くを占めており、依然大きなウェイトを占めています。このためOPECが総会で取り決める原油の生産枠にいつも市場の関心が集まります。
最近、石油市場で軽視できないのが地政学的リスクです。もともと地政学的リスクの語源は、政治・地理的条件やその変化によって世界情勢に影響を及ぼしかねない要因のことを指します。近年は中東情勢に絡んだ地政学的リスクが取り上げられることが少なくありません。この中でも、イランの核開発問題は未解決のままであり、今後も石油価格の上昇要因である地政学的リスクとしてマーケットに潜在することになりそうです。
(TOCOMナビ 編集室)

