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虚構の米資産バブルが崩壊し流動性は商品に向かう
「インフレ期待が高まると加速しドル危機も」
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 嶌峰 義清氏
2008年4月4日更新
米金融市場ではいま、モノラインと呼ばれる金融保証会社のバランスシートが悪化しており、格付け機関による格下げを受けて支払い能力に疑問符がつけられている。それにより、債務保証していた2兆4000億ドルにも及ぶ証券化商品や社債、地方債も自動的に格下げされてしまうなど大きな爆弾要因を抱えている。
モノライン大手3社は格付け機関から最上級のトリプルAの評価を得ていたが、それが今回サブプライム・ローンを含む証券化商品が大規模に格下げされたのを受けて、支払い能力が低下したと評価されている。そもそも、格付け機関もヘッジファンドを傘下に抱える大手銀行・証券会社やモノラインといった金融機関から手数料を受け取っていたのだから、実態以上に大幅に嵩上げされた評価が成されていたのは想像に難くない。そうした虚構の上に成り立っていた米国の巨大な資産バブルがいま、音を立てて崩壊し始めたところだ。
この"第一幕"としてサブプライム問題が登場したが、すでに"第二幕"として商業不動産市況が崩れていく兆候が出てきたところだ。このため、モノラインの問題を解決しても、資産バブル崩壊の動きはこれからも長期にわたり続いていき、米国経済を蝕んでいくことになりそうだ。
米国の資産バブルは90年代後半の株式を対象とするITバブルが00年初頭に崩壊した後、日米両国が異常な金融緩和政策を推進したことで、住宅を中心にさらに強まった。FRBは04年から06年にかけて金融引き締めに動き、流動性を吸収しようとしたが、今回、サブプライム問題から金融・資本市場が動揺したのを受けて、再び流動性を供給する政策に回帰している。世界的に株価が急落した1月22日に0.75%、直後の30日にも0.5%の利下げを行うなど、いまやFFレートは2.25%まで下がっている。
米消費者物価指数は原油高の影響もあり、直近では前年比4%超にまで高まってきているので、実質金利はかなりマイナスの状態にある。いまのところ覇権国としての"威信"がまだ崩れておらず、"質への逃避"から米国債に資金が向かっている。とはいえ、米国は巨大な累積債務大国であるだけに、一度インフレ期待が高まるとそれが加速してしまい、ドル危機を引き起こしかねない。
過剰流動性にさらに拍車がかかっているなかで資金はどこかに向かうはずだが、こうした状況では積極的に金融市場で運用するわけにはいかないため、いきおい商品市場に向かうことになる。また、最近では中国を中心に新興国も米景気悪化の影響を受けざるを得ないとの見方が強まっているが、それでも長期的にはさらに経済成長が見込めるので、商品の需要は一段と増大していきそうだ。
嶌峰 義清(しまみね よしきよ)
青山学院大学経済学部卒。1990年岡三証券入社。岡三経済研究所、日本総合研究所、日本経済研究センター等を経て、98年5月より現職。金融市場全般担当のチーフ・エコノミスト。角川SSコミュニケーションズ月刊誌「MONEY JAPAN」にてグローバルマーケットの連載をはじめ、さまざまな経済誌に執筆。

