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「白金(プラチナ)の需給動向」
プラチナ・ギルド・インターナショナル トレード・マーケティング部 部長 藤原賢史氏
2008年3月7日更新
プラチナの国際価格は2月に連日で史上最高値を更新し続け、ついに2000ドルを突破した。2008年幕開けからの世界的な株価下落などにより、プラチナに投機資金が集まりやすい環境でもあり、その勢いはさらに増している。かつては最大のシェアを誇っていた宝飾用プラチナの観点から需給動向を探ってみる。
プラチナ市場における宝飾需要の現状とその機能
有史以来の産出量が大きさにして一辺6mの立方体サイズに収まるという希少性の他、日常生活においては変質・変色しないという永遠性をもあわせ持つプラチナは、昨年プラチナ・ギルド・インターナショナル(以下PGI)が行なった国内の消費者調査でも、他素材を圧倒する65%の女性が、「一年以内に入手したいジュエリー」と回答するなど、この高値環境においても強く支持されている。世界的にもブライダル・ジュエリーでの需要が強いが、国内では加えて、30万円以上の価格帯でのシェアは過半数を維持しており、その需要は根強く残っている。
プラチナの需要は宝飾以外にも、自動車排ガス浄化触媒を筆頭に、液晶ディスプレイ製造装置、ハードディスクなどに使用されており、環境・ハイテク・ITといった今後の産業を担う分野に不可欠な存在である。宝飾需要は他用途と異なり、相場が下がれば拡大し、上がれば減少するプラチナ市場におけるショックアブソーバーとしての機能がある。
南アの供給不安
ここ数週間の価格高騰は需要面だけではなく、世界の8割のプラチナを産出する南アフリカでの供給不安が色濃く影を落としている。慢性的な熟練労働者不足に加え、2010年ワールドカップ開催準備もあり、鉱山より安全な建設現場にも労働力を奪われているようである。また、採掘現場での安全性が強く意識され始め、事故発生時の原因究明と対策徹底のための一時的な操業停止も頻発している。それに追い討ちをかけたのが、2008年1月に発生した電力供給不安である。南アはコストの安い石炭発電が主流で、また、設備投資も積極的にはされてこなかった。そのため以前から将来的な懸念はあったが、それがついに現実のものとなった。
注目される新たな供給源
このような供給不安の中、注目を集めている供給源がある。宝飾品の売り戻しである。これまで宝飾品は退蔵されるというのが定説であったが、2007年は相当量のプラチナ・ジュエリーが回収され、その大半は宝飾用に再還流しているとPGIでは推測している。リサイクル地金の供給は、データ上では相対的な新産プラチナ地金の実需減少としてのみ表れているが、プラチナ・ジュエリー市場としては、新産プラチナ地金と、回収されて宝飾用途へ再還流したリサイクル地金の合算となる。
近年、ジュエリー買取業者も急増し、報道によるプラチナ価格への消費者の関心の高まりと共に、こうした新たな経路が確立し始めている中、ジョンソン・マッセイ社発表を単純に積み上げると、1990年から500トン以上という夥しい量のプラチナ・ジュエリーが日本で消費され、その多くが一般消費者のジュエリーボックスにストックされている計算になる。日本は世界有数の都市鉱山を持つ国とされているが、その鉱脈は一般消費者の家庭にも存在している。このため、リサイクル地金急増の動きは、しばらく加速するものと考えられる。
藤原賢史(ふじわら けんじ)
プラチナ・ギルド・インターナショナル トレード・マーケティング部 部長。1999年PGI入社、流通・小売市場におけるセールスプロモーション、リサーチ等の担当を経て、現職。PGIは南アフリカの大手プラチナ鉱山・精錬会社の出資によって設立されたプラチナ・ジュエリーの広報機関。プラチナの啓蒙や需要創出のため、宝飾業界支援活動や消費者への広報宣伝活動を行っている。ロンドンに本部を置き、世界7ヵ国で活動。


