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「NY原油は一段高の可能性あるものの米国の景気動向やOPECの動きに注目」

佐藤昌彦氏

2008年1月25日更新

年明けにニューヨーク原油はナイジェリアでの治安悪化や原油在庫の減少を材料に100ドルを突破した。高値がこのまま続くかどうかは、地政学的リスクや新たな資金の流入などに左右されよう。株式市場が軟化すると金や原油に資金がシフトする可能性もあるが、米国景気の減速懸念が高まれば、100ドル近辺を天井に下値を探る可能性も出てこよう。石油輸出国機構(OPEC)の動向からも目を離せない。

【第1四半期の需要予測】

国際エネルギー機関(IEA)によると今年の第1四半期の世界の原油需要は、日量8,820万バレルで、前年同期の8,583万バレルに対して2.8%の伸びとなる。世界最大の需要国である米国は同0.8%の伸びとなる。米国では景気減速への懸念もあり、伸び率がやや鈍化する見通し。また、中国は同6.2%と引き続き高い伸びを見せる。今年も世界全体で堅調な原油需要が見込まれるが、米国の景気次第では伸びが抑えられる可能性も出てこよう。米国での景気減速懸念が強まるようだと、年明けに100ドルをつけた原油価格は、そこを天井に下げに転じる可能性も高まる。

なお、原油価格への影響の大きさで見逃せないのが為替の動きだ。2007年は、ドルは対主要通貨で下落基調が続いたことで、これがドル建ての原油や商品相場の押し上げ材料となった側面もあり、ドル相場の動向も引き続き原油ならびに商品市場の動向を大きく左右しそうだ。

【OPECの対応にも注目】

昨年12月5日のOPEC総会では、生産量は据え置きとなった。原油価格が100ドルに接近した時点で、OPECの増産観測から90ドル割れまで下落したものの、総会前には大きく値を崩していたことから、増産が見送りとなったようだ。なお、OPECは次回の総会を2月1日、その次の総会を3月5日に開催する。100ドル近い高値が続くようなら、総会で増産が議題に上ることも考えられる。増産観測が高まると一気に10ドル前後の下落につながろう。

米国の原油在庫は6月の下旬以降、減少傾向が続いているが、在庫水準のそのものは過去5年間の平均レベルを割り込んでおり、在庫の減少傾向は価格の下支え要因となる。暖房用の燃料であるヒーティングオイルを含む留出油在庫は、過去5年間の平均に近い水準にある。ヒーティングオイルの需要は今後の米北東部地域の気温の推移に左右されそうだが、今のところ寒波が到来して大きく需要を押し上げるという状況にはなく、ヒーティングオイルが原油価格を牽引するという状況にはなりにくいとみられる。

【国内は気温と灯油の在庫動向に注目】

冬場はガソリンの需要が落ち込みやすいが、今後は製油所の定期修理の時期にあたる5月限や6月限は徐々に先高期待から上昇に転じることとなろう。灯油は需要のピークを迎えているものの、小売価格が高止まりしていることから需要が落ち込む可能性があり、気温が低下しても素直に価格上昇につながりにくくなっている。

東京灯油の期近は、低水準の在庫や需給ひっ迫懸念から、11月に84,000円まで上昇して期近ベースでの上場来高値を更新したものの、小売価格の高騰や温暖な気温による需要の伸び悩みなどで、現物価格や期近の価格が高値からは下落してきた。今後は気温の低下だけでなく、小売価格が下落に転じないと需要の増加が見込みにくいという状況が続きそうだ。

小売価格の高騰の影響でガソリン、灯油ともに末端での販売が伸び悩む状況が継続しており、現物価格の上値が重くなってきたことで、期近も頭打ちになっている。この影響で製品の期近と原油のサヤ(クラック・スプレッド)は縮小傾向にある。特に冬場に需要が落ち込むガソリンはクラック・スプレッドが縮小しており、ガソリンの需要が盛り返すか、製油所の定期修理を材料にしてガソリン価格が上昇しない限りはガソリンと原油のサヤも拡大しにくい展開が予想される。なお、季節的に灯油は需要期が終わりに近づくことで、ガソリンと灯油のサヤは期中限月を中心に拡大しやすくなりそうだ。


佐藤昌彦(さとう・まさひこ)

1985年 明治大学 政治経済学部卒。1994年ゼネックス(現オーバルネクスト入社)。石油を中心に市況の執筆や分析記事の執筆などを行う。