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「今後三年間ドル安トレンドが続くも08年中に100円は割れない」
(株)日本トーマスモアコンサルティング代表 板垣 哲史氏
2007年12月14日更新
年の瀬が迫ってきたが、外国為替市場ではドル安圧力が強まっている。サブプライム問題から、米国で大手金融機関が相次いで大幅な減益決算や損失計上を余儀なくされ、金融不信が高まっているためだ。重要なことは、この問題は住宅バブル崩壊の初期段階に過ぎず、米国ではこれから長期間にわたり信用デフレ危機に見舞われる公算が高いことだ。それによりドル安基調が数年にわたり続くことが見込まれるため、2008年のドル・円相場は基本的に下がりやすい状況になることが予想される。
今年のドル円相場のレンジとしてみれば、124円12銭から107円20銭と16円92銭の値幅は、中心レートから見て14.71%に相当するが、歴史的に見ると極めて変動の少なかった年でもあった。ちなみにユーロ・円は、149円23銭から169円07銭と19円84銭の値幅で中心レートから見れば12.47%の変動という事になり、ユーロ・ドルでは1.2864から1.4969と0.2103ドルの値幅で中心レートから見れば約15%の変動幅であった。
こうした傾向はここ数年の間に、個人の為替証拠金取引によるマーケットへの参入が一段と活発になり、市場参加者の数が飛躍的に増えたことが、変動幅が以前より少なくなってきている原因のようだ。こうしたことを鑑みると、2008年もせいぜい変動幅は15%程度に収まることが推定される。
しかしながら、03年以降の景気拡大の原動力となってきた住宅バブルが07年についに崩壊過程に入りつつある現状を見るとドル安の基調はこの先数年続く可能性があることを忘れてはならない。かつて、90年にリセッションが始まり、自律的に景気が持ち直すまでに軍需の創出やドル安政策で景気を維持する期間は5年にわたっていた。今回も自律的な拡大基調に回帰するのに同じ程度の期間を要するとすれば、米国経済はこれから低成長が続き、外需に依存した状態が12年頃まで続くことになるため、それまでは外国為替市場ではドル安基調を継続することになると見込まれる。それにより、08年のドル・円相場は下降局面が主流な動きとなるなかで、時折、修正高が見られる展開になりそうだ。
ただし、これまでは各国の中央銀行が外貨準備を、また中東のオイル・マネーも運用先を米ドルからユーロにシフトさせる動きを続け、さらにはECBも利上げを続けていたことから、ドル安圧力の受け皿としてユーロ高傾向が続いていた。ところが、EU圏経済ではサブプライム問題による金融・資本市場の混乱やユーロ高、原油高から中核国であるドイツを中心として景気に陰りが見える。また、日本経済も07年6月20日に改正建築基準法が施行されたことで住宅着工件数がかなり落ち込んでおり、アジア向け輸出が唯一の頼みの綱だが、北米向け輸出の減退もあり、増税のボディーブロー、物価の値上げが影を落としており、円キャリー取引の元凶である超低金利からの脱出もままならない状況であることから、一方的に円高が進むことは考えにくく、08年中に2桁台に突入する可能性はきわめて低いのではなかろうか。 想定される年間の動きとしては、サブプライムローン問題が、米国金融機関の一部大手の破綻として表面化するであろう来年3月、4月に100円近くまでドルが売り込まれるが、米金融当局の公的再生ファンド等の救済策が発表されることにより円高の危機を脱し、夏ごろには、いったん117円程度までドルが戻した後、年末にかけて再び105円程度まで押されるシナリオが考えられる。すなわち、年間のドル円の変動幅を、ここ数年の動きから15%程度と想定し、年末のドル円の為替レートを109円前後とすると、来年のドル円の高値と安値は、100円80銭から117円20銭という事になるのではないか。
板垣哲史(いたがき てつふみ)
(株)日本トーマスモアコンサルティング(国際経営人事コンサルタント会社)代表。慶應義塾大学法学部卒業 同大学大学院卒業。外資系金融機関の国際金融部門において20年以上にわたり国際金融市場の最先端で活躍した。その経験の中から、金融機関の専門職を対象として投資心理学を応用した収益力判定テストを開発し、自己目標明確化の為のカウンセリング、転職紹介で数々の実績を積み上げてきている。また為替動向分析を中心とした国際金融情報(グローバル・レビュー・レポート)を定期に発行し、最先端のベンチャー企業育成のコンサルタントとしても活躍中。著作に『決定版 儲かる米ドル預金』(マネジメント社)、『眠ったお金を揺り起こせ』(ブロンズ新社)、『投資に勝つ最強の「心理」法則』(オーエス出版)、『「金」と考える分散投資』(ブックハウスジャパン)などがある。

