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銅は米国での需要減退が懸念されるが中国を中心に世界的に需要は好調
「アルミ相場の基調は弱いが電力コスト上昇や銅からの代替需要は増加」

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 主任研究員 芥田知至氏

2007年10月5日更新

銅相場は他の非鉄金属に比べると相対的に底堅い動きとなっている。その背景は、ひとつには中国での需要が好調な状態を維持していることがある。以前は、同国では5〜6月に輸入が増えると国内需給が緩和するとの見方が一般的だったが、今年は7月も前年同月比7割近く増えているなど、内需が非常に好調であることがうかがわれる。こうした状況を背景に、上海市場では以前に需給緩和を映してサヤ関係が一時的にコンタンゴ(順ザヤ)だったのが、ここにきて再びバックワーデーション(逆ザヤ)に回帰している。また、来年の北京五輪を控えてエレクトロニクス向け需要が伸びることで、銅の需要が世界的に増加することも期待できそうだ。

その一方、米国ではサブプライム問題から住宅や自動車関連の需要がこれから減退していくことが懸念される。8月中旬には他のコモディティ市況と同様にこの問題を背景とした信用収縮による資金流出を懸念する動きから急落したが、この動きは一時的なものにとどまるだろう。ただし、この懸念がくすぶっている間は米国で需要が停滞するとの見方が上値抑制要因として作用してくる可能性が高い。

以上のことを踏まえて総合判断すると、銅相場はしばらく米国を中心に需要の動向が不透明であることが意識されることで、ボックス圏での推移が続きそうだ。とはいえ、信用収縮懸念による重しが剥落してくるにつれて、次第に中国を中心に世界的には依然として需要が好調であることが意識されてくることで、中期的にはLME3ヵ月物は8000ドル台で堅調な値動きとなると見られる。

【アルミの供給は安定し、在庫が潤沢】

アルミニウム相場は7月中旬に英豪リオ・ティントがカナダのアルキャンを買収したことで供給体制が寡占状態に向かうとの見方から一時2800ドル程度まで戻したものの、その後再び下げだしており、他の非鉄金属と比べると基調が弱い。供給が安定しており、在庫が潤沢な状態にあることから容易に上げていけないようだ。8月にはジャマイカでアルミナの精錬所がハリケーンで操業停止になったものの、サブプライム問題による信用収縮懸念にかき消されてしまい、上昇に転じるきっかけをつかめないでいる。

ただし、中国では広東を中心に需要が好調な状態が続いており、需要期である今秋のオーダーもそれなりに入っているようだ。これまで同国は純輸出国だったが、需要が好調であることや、原油価格高騰もあって電力コストが上昇しているなかで慢性的に電不足の状態にあることから生産抑制策が続けられるため、徐々に純輸入国に転じていくと見込まれる。

当面はサブプライム問題がくすぶっているために上値を抑えられた状況が続きそうだが、それでも需要が好調であることを考えると、この問題から急落する以前の2600ドル程度の高値まで戻しても不思議ではないだろう。中長期的には電力コストの上昇に加えて銅相場との割安感が強まることで代替需要が見込めることから、信用収縮懸念が収束すれば次第に上向いていくと思われ、来年半ばには3000ドル台まで上昇しておかしくない。


芥田知至(あくた ともみち)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒。青山学院大学国際政治経済学研究科修了。山一證券入社後、山一証券経済研究所経済調査部、NY事務所を経て98年に三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。調査部にて米国経済、ラテンアメリカ経済、日本経済を担当した後、現在は国内経済・商品市況などを担当。各種メディアに寄稿・コメント提供多数。著書に『知られていない原油価格高騰の謎 』(技術評論社)などがある。