最新レポート
「減り続ける日本のガソリンスタンド数の現状」
垣見油化(株) 代表取締役専務 垣見裕司氏
2007年7月27日更新
資源エネルギー庁がまとめているガソリンスタンド(=サービスステーション、以下SS)は、2007年3月末現在、4万5792軒で前年比マイナス1792軒、過去2番目の大幅減少となった。日本のSS数のピークである平成6年度末の6万0421軒から25%も減少したことになる。
しかし3月末時点の本当のSS軒数は、実はもっと少ない。それは前述の数字の中には、可搬式(通称ポータブル)と言われる簡易SSが、推定で約1100軒含まれていること、またSS運営者が採算割れ等で所有者である元売に返上したものの、その後の引き受け手が見つからず、限りなく廃止に近い状態で休止しているところ、あるいは廃業というよりは倒産で、廃止届出すら出す余裕のないケースはその廃止カウントがかなり遅れることになるからだ。これらを勘案すると年度末の3月末現在で営業中のところは4万4000程度と見積もられる。
その一方、元売が傘下の系列SSとして発表している合計数の3万5486件はかなり精度が高い。従って全体数から前述の約1100という可搬式数を引いた残りがプライベートブラント(PB)と称されるグループである。この中には忠ボーイ(伊藤忠商事石油)等の商社系ブランドや全農等で元売マークを上げずにJAだけのマークで運営しているSSも入る。古くは「ノンブランド」というとマイナーなイメージをお持ちの方もいるかもしれないが、現在のPBイメージは、かなり改善されたといえる。この元売系列SS軒数でもう一つ言えることは、日本全体のSS数に占める元売の割合が、毎年確実に少なくなっていることだ。例えば平成10年度の87.3%が、直近では77.5%なので、PB割合が倍増したとも言える。さてこのようにSS軒数が減少している中、逆に増えているのはセルフSSである。前年比プラス1044軒の6001軒となり、日本におけるセルフSS率は13.1%まで増えた。
参考までに、末端販売価格から税金と原油輸入CIF価格を引いた業界総粗利は、平成11年度が、弊社推定27円、平成18年度は20円以下なので、SS業界がどれ程苦しいかが分かる。またSS業界の厳しさを示す数値としては、事業者数の減少がある。平成元年度には、3万2835社あったが、18年度末は2万2952社と30%も減少している。
東京都に限ってみれば、昭和54年の2355社から平成18年度末では推定1000社で、その減少率は58%に達した。世田谷区では52年度の111社が平成16年度末には23社と79%も減った。米穀販売業や酒類販売業も自由化で減少しているようだが、個別にみれば、同様の深刻な数字である。SS過疎問題同様、SS業界から中小業者がいなくなるという問題も深刻化してきそうな雲行きだ。
ただしこれまで述べてきたようなガソリンスタンド数の減少傾向は、日本だけに限ったわけではなく、海外でも同様に大幅減少となっている。アメリカのピークは1972年。その当時の22万6459軒が現在16万8987件でピーク比74.6%。更に、イギリスも見ると、ピークは1970年の3万7129軒で、それが現在1万0351軒、27.8%まで減少を強めている。フランスはピークが1973年の4万6000軒で、それが現在1万3823軒、率で30.1%と大幅減になっている。
垣見裕司(かきみ ゆうじ)
垣見油化株式会社代表取締役専務。(石油業界の中堅特約店経営者という立場ながら、)資源エネルギー庁の石油流通課研究会委員(H13-14年)や同石油販売業経営高度化調査・実現化事業委員長(H14-18年度)等を務める。また垣見油化のホームページ(http://www.kakimi.co.jp)で同氏が業界問題を解説する毎月のトピックスは大人気。年間アクセス数も50万件を誇り業界内外から高く評価されている。業界月刊誌(ガソリンスタンド)での連載などの執筆活動の他、石油事情や人材育成等の講演も数多く行っている。


