「TOCOMナビ」ページ内リンク

  1. 「メインメニュー」へ移動する
  2. 「本文」へ移動する
  3. 「上場商品ガイド」へ移動する
  4. 「サイトの利用説明」へ移動する


最新トピックス

最新レポート

「足元はガソリン高に牽引されているものの安定期に移行」

日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 研究主幹 長和彦氏

2007年6月1日更新

WTI原油の期近相場は5月に入ってから反落し、一時60ドル飛び台の安値圏まで後退した。しかし、60ドルの心理的節目を割り込むことなく、安値を出し切った後は堅調に推移している。米国内での在庫減少からガソリン市況が高騰していることが原油高を促しているためだ。またナイジェリアでの地政学的リスクによる供給不安が加わったことも一因である。

米国内ではガソリンの在庫が2月中旬から5月上旬にかけて12週連続減少傾向を続けた。エネルギー需要が堅調に推移していることに加え、市況の高騰から輸入価格にも上昇圧力が強まっているため、容易に供給が増えないことも一因である。直近では在庫がやや増えているが前年同期比ではまだ7%マイナスであるし、これから6月、7月の需要シーズン入りを織り込んで市況は高騰している。参考までに、米エネルギー省が発表した最新の米平均ガソリン価格(レギュラー無鉛)は、過去最高の3.22ドル(1ガロン当り)となり、2月初めから1ドル以上も上昇している。

ナイジェリアでは4月の大統領選挙以来、ほぼ毎週のように石油精製施設が襲撃されている。それにより、足元では産油量が通常の生産量より日量80万バレルも少ない状態だ。一方、原油の在庫は1−3月期にはOPECが減産に動いたことから、3月末には前年同期並みまで減った。しかし、それでも05年対比では2%増であり、04年対比では実に6%も多く、依然として水準としては高い状態だ。

ガソリン市況は需要シーズン入りを控えて供給不安が高まっているが、実際にシーズンに入るとそうした不安が沈静化する公算が強い。米国経済も1−3月期の実質GDP成長率が前期比年率1.3%(速報値)にとどまるなど景気減速が顕著になっており、需要も減退しつつある。このため、これから市況は反落しておかしくない。参考までに、1―3月期の米GDPは、前期の2.5%を大幅に下回り03年1―3月期の1.2%以来、4年ぶりの低水準を記録した。住宅投資の減少が主因で、米景気の減速が一段と鮮明になった。昨年4―6月期から3四半期連続で2%台にとどまり、そこから更に低下した。

今の時点では高騰し続けているガソリン市況が軟化すれば、市場では原油在庫の水準が多い状態にあることに関心が向いてくると思われる。それにより、原油相場は6月半ばにかけて上昇に一服が入り、価格の安定期に入ってくる可能性が高い。


長 和彦(ちょう かずひこ)

1975年 東京大学経済学部卒業。同年 日本石油株式会社入社(現新日本石油株式会社)。 2001年 財団法人中東経済研究所へ出向。2005年 (財)日本エネルギー経済研究所 中東研究センター GM 現在に至る。主な論文と著作に、研究主幹「サウジアラビアの経済改革の現段階」『中東動向分析』(中東経済研究所)、「サウジ原油のアジア・プレミアム」『中東動向分析』(同上)、「石油までに及ぶサウジの米国の緊張関係」『現代中東研究』(同上)、などがある。