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「World Gold Councilによる2006年の金需給報告と価格変動について」

株式会社フィスココモディティー代表取締役 近藤雅世氏

2007年3月30日更新

金の需要

2月15日、World Gold Councilは2006年の金需給レポートを発表した。それによると2006年の金の需要は数量ベースでは10%減少した。しかし、金額ベースでは3年連続で増加し、22%増の650億ドルと史上最高となった。

このパラドックスは、金価格が一年で36%上昇したことが要因として挙げられる。この値上がりのスピードは1980年以来最大であった。ことに第1四半期と第2四半期の金価格の上昇により、金需要は前年同期比19%減まで落ちた。このような大きな価格変動が最も影響を及ぼしたのは宝飾品需要であった。2006年の宝飾品需要2267トンは、数量ベースでは前年比16%減であり、1990年以来最低であった。しかし、金額ベースでは14%増、440億ドルと過去最高を記録した。

2006年上半期は前年同期比で28%も落ち込んだ金の需要(数量ベース)は、第3四半期に前年同期比6%減となった後、第4四半期には前年同期比6%増となった。金額ベースでは34%増の195億ドル、これは四半期の売上高としては新記録であった。

第4四半期の宝飾品需要は数量ベースでも前年同期比2%増となっている。特にインドにおける金需要は前年同期の2倍以上となり、10月のインドの金輸入量は過去最高であった。

2006年の電子工業品向け需要は11%増で、過去最高の312トンであり、これを含めた工業用及び歯科用需要は458トンであった。金額ベースでは45%増となった。投資需要は数量ベースでは7%増、金額ベースでは45%増となった。ETFや同様な金融商品による金の需要は265トンに上り、2005年に比べて27%増となった。投資需要は特にトルコとベトナムにおいて顕著であった。

金の供給

一方、供給は、鉱山生産が横ばいで、公的売却が52%減ったことや、鉱山会社の売りヘッジ外し(鉱山会社の買いとなるため、統計上は生産の減少となる)などから、生産は13%、533トン減少し3451トンになった。その一方でスクラップからの供給は20%増加となった。

第4四半期の鉱山生産は前年同期比5%減であり、インドネシアとペルーでの減少が顕著である。これらの国の減産がブラジル、ガーナ、カザフスタンなどの国における増産を相殺した。第4四半期の鉱山会社の売りヘッジの買い戻しは、前年同期の72トンから43トンに減少している。しかし、上半期にPlacer Dome社の清算に伴うヘッジはずしがあったため、前年同期の86トンに比べ403トンが記録された。これらの影響で2006年の鉱山からの供給量は前年比15%減となった。

また公的保有金の売却は、前年の半分以下の319トンだった。中央銀行協定(年間500トンの売却枠)に基づいて売られた数量は暦年ベースでは341.1トン、スクラップの供給は238トンで前年同期比14%減であった。価格の上昇が大きかった2006年上半期にはスクラップの供給が多かったが、価格が落ちついてくるとスクラップは少なくなる傾向がある。

需給分析

2005年秋から続いた金価格の上昇は、一時的に金の数量ベースの需要を減退させた。しかし金の価格は、他の商品と違ってこうした需給の変化に大きく左右されない傾向がある。2006年の価格変動がそれをよく物語っている。金価格が上昇して、これほど宝飾品等の需要が落ち込んでいたにもかかわらず、さらに価格は上昇した。最近の値上がりもドル安という大義名分はあるものの、もっぱらファンドの買いを中心とする金に対する投資人気が主な要因と思われる。金の供給は市中にある15万5000トンの金塊がいつでも供給源と代わり得るため、日本の国家予算を上回るほどの無限の供給があると考えられる。したがって金の価格を予測するには、金に対する人々の人気がどの程度あり、他の金融商品や通貨、あるいは原油などに対して相対的に金の魅力がどの程度あるのかを測らねばならない。


近藤 雅世氏
近藤 雅世(こんどう まさよ)

株式会社フィスココモディティー代表取締役。1972年早稲田大学政経学部卒業後、三菱商事入社。主に非鉄金属、貴金属分野に従事。アルミ地金、航空機材料、建築材料、鉛亜鉛錫地金、貴金属取引を行い、日本で最初の『商品ファンド』の設定に携わり、プラチナでは世界最大手のトレーダーだった。6年間香港に駐在。三菱商事に27年間勤務後退職、商品先物取引会社2社を経て現職。フィスコ コモディティーでは商品先物取引に関する価格予測情報やチャートソフトを販売。著書に『商品先物取引 基礎知識と儲けの方法』(すばる舎)、『商品先物相場 現状分析と未来予測』(すばる舎)。現在、日経CNBCテレビ『先物ワールド』出演中、時事通信アナリストの目執筆中。
楽天ブログ(近藤雅世の商品先物価格予測)http://plaza.rakuten.co.jp/kakakuyosoku/

株式会社フィスコ コモディティー

2005年12月株式会社フィスコ コモディティーを設立し代表取締役社長就任。ヘラクレスに上場している株式や債券・為替の情報発信会社フィスコとのジョイントベンチャー。資本金1000万円。