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「中国を中心にみた天然ゴムのマクロ的な需給環境」

野村貿易(株) インダストリー部門マテリアル事業部ゴムエラストマーBG 岩田安代氏

2007年3月23日更新

天然ゴム価格は、先物市場において昨年11月の安値から上昇傾向となり、今年に入ってからも1月、2月と続伸している。しかし、需給バランスから推しはかると高過ぎるのではないかと見ている。産地の輸出業者の立場ではゴム・バブルが起こっているといえる。個人的には、現在の行き過ぎた状況がいつかは修正されるものと考えている。事実、合成ゴム汎用グレードであるSBR(スチレンブタジエン・ゴム)との価格比で見ても、天然ゴムはおよそ100円程度割高である。

そのように、天然ゴム価格は割高な価格が形成されている。需給においてもこれだけの高値をつけるようなタイト感は見当たらない。NY原油市場など他市場にも同様にいえることだが、思惑が優勢化され、需給からかけ離れた価格がつけられているのではあるまいか。世界規模で需要が拡大していることは事実だが、行き過ぎているきらいがあることは否定できない。

天然ゴム需給は、消費の部分で中国の増加傾向が顕著となっているが、その他の国でもインド、東欧、アフリカと、さらに伸びる下地はあるとみられる。そしてその消費の拡大によって将来の需給がタイトになるとマーケットが評価、結果的にそれをマーケットが事前に織り込む作業、つまり「前買い」を進めていることによって価格の高騰がもたらされていると受け止めている。また実物市場においても投資という形で仮需の動きが強くなっている。高い経済成長を示すインドに対する経済投資がタイヤメーカーなどでも広がっているが、そこでタイヤ生産が増えるという前提の下で、仮需が増えているようだ。

タイヤ用の需要動向は、中国の自動車台数が著しく伸びており、それに伴い中国の天然ゴム消費が飛躍的に拡大していることは看過できない。参考までに中国の天然ゴム需要は、国際ゴム研究会(IRSG)の統計によると2005年実績で183トン、2006年実績見込みで205トン。最近5年間における消費伸び率は年率換算で11.3%、同じく最近10年間では12.5%。また世界の消費国の中では1993年に日本を抜いて世界第2位の天然ゴム消費大国となり、2001年以降はアメリカを抜いて世界最大となっている。また2005年実績では世界消費に対する占有率はほぼ2割を占めている。

ただし今年に入ってから中国の買い付けは消極的である。今年から実質的に輸入関税が引き下げられたにもかかわらず、中国の成約の話しはあまり伝わってきていない。また中国の輸出入の貿易統計であるが、どこまで信頼性が置けるのか分かりにくいことも、中国での天然ゴム消費と輸入について懐疑的にさせる。

別な角度では、中国の需要動向は天然ゴムに限らず、エネルギーなど他の素材商品でも同様に世界経済に与える影響度が増しているわけだが、中国経済は北京オリンピックを前後して、そのバブルがはじける可能性があるとみられるため、そのあたりも警戒している。特に、経済面での動きが、政治の面にまで影響を及ぼす可能性がある点は憂慮すべきだ。そうなると世界経済全体が混乱するだろうし、素材マーケット全体に与える影響も計り知れまい。

一方、供給に関しては今の時期、タイはウィンタリング(落葉期)に入っているが、今年の春節(旧正月)が例年よりも遅めということもあり、比較的緩い減産(程度の軽いウィンタリング)となりそうな雲行きだ。また近年の天然ゴムの高騰で農民は大いに潤っており、それが生産の拡大に拍車をかける可能性がある。


岩田 安代氏
岩田 安代(いわた やすよ)

野村貿易(株) インダストリー部門マテリアル事業部ゴムエラストマーBG所属。1992年短期大学卒業後、野村貿易鰍ノ入社。大阪化学品部に事務職として配属。1999年、営業職に転換。2005年3月、東京に転勤して現職。