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「天然ゴム生産の季節周期とウィンタリングの影響」
丸紅(株) ゴム部天然ゴム課 課長 鈴木貴志氏
2007年2月9日更新
天然ゴムの生産には季節性がある。主産地であるタイ、マレーシア、インドネシアの上位3カ国には雨季・乾季の季節変化があるため、生産はこの季節周期の影響を受けることになる。例えばタイの南部では通常12〜4月頃が乾季、5〜11月頃が雨季となる。ただしこの時期は目安であり、毎年多少のずれがある。
乾季の始まりである12〜1月頃は比較的気温が低く、後半の3〜4月にかけて気温が上昇していく。雨季は終盤の10〜11月頃に降雨量が増えるのが一般的で、洪水が起こりやすいのもこの時期である。
天然ゴムの生産はこの季節変化の影響を受ける。タイのケースを見ると、最も産出量が多いのは乾季の始めである12〜1月。この時期、適度の水分が土壌に含まれ、また気温も低くゴムの生産に最も適した条件となるからである。その後、気温が上がるにつれ産出量は減少し、3〜4月にはウィンタリングと呼ばれる落葉期を迎える。この時期、ゴム樹の葉が落ちて次の新芽の準備が始り、無理にタッピング(天然ゴム樹の切り付け作業)をしてもラテックス(ゴム樹液)が出ないため、多くの農園はゴム樹を休養させるためタッピングを休止することが一般的である。5月頃までにはタッピングが再開されることになるが、生産は急にではなくゆっくりと回復していく。6月以降の雨季の間はある程度一定した量が生産される。その生産の推移は、グラフを参照してもらいたい。
マレーシアおよびインドネシアのスマトラ島北部でも同様の生産パターンとなる。ただし、スマトラ島南部は南半球に位置していて季節が逆転するため、この季節周期が逆になる。従ってインドネシア全土の生産量は、タイに比べると年間を通し比較的安定している。
このような季節周期はある程度パターンが決まっているが、年によって減産期、増産期の時期や期間が変わることから、産出量に影響を与える重要な要因となる。特にウィンタリングの時期の微妙なずれは、生産者のセンチメントに影響を与えることが少なくない。業界では、産地シッパー(生産・輸出業者)の大半を占める華僑が旧暦の正月をウィンタリングのはじまりの目安としていることは広く知られている。また、ウィンタリングの終盤に通常は降雨があるが、降雨の遅れにより減産期が長引く場合やゴム樹が2度落葉するダブル・ウィンタリングとよばれる現象が起きることもある。
最近ではエルニーニョ、ラニャーニャ等の異常気象が続いており、これらの現象によりウィンタリングの期間に影響が出るケースが出ている。特に05年はウィンタリング期間が長くなる一方、消費が好調であったことから一時的に極端な荷不足状態となり、その年の5月以降に天然ゴム価格が急騰した経緯がある。しかし06年は逆に10〜11月の降雨が少なく、増産期の始まりが早かった。
鈴木貴志(すずき たかし)
1987年丸紅入社。1991年より天然ゴム関連業務に従事。93〜95年 タイのシートゴム(RSS)生産会社UNIMAC RUBBER社出向。96〜2000年 シンガポールの丸紅現地法人MARUBENI INTERNATIONAL COMMODITIES社出向、01年より丸紅本社・天然ゴム課に所属。

