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「国際天然ゴム需給の現状と今後」

Agrow Enterprise Co., Ltd. CEO 古井智昭氏

2007年1月26日更新

来年の需給の行方を探る前に過去数年の需給の推移を振り返ってみよう。天然ゴムのファンダメンタルズは2000年から好転し、年々需要過多の状況が続いた。 国際ゴム研究会(IRSG)統計に示される世界の天然ゴム在庫は、2000年末の213万トンから06年8月末の158万トンへと30%近くの減少、同時に、消費に対する在庫率は、2000年末の3.5カ月分から06年8月末には2.1カ月分へと落ち込んでいる。この世界在庫は、生産国での工場在庫から世界各地に船積みされ船舶上にあるものも含んだ数値であり、それだけ在庫が大きく減ったことが示されているとともに、今年前半までゴム相場が高騰した背景には、このような一連のファンダメンタルズの改善があったことを示すものである。

このように天然ゴム需給がタイト化しているのは、生産側と消費側の両サイドに原因を抱えているためである。

まず生産であるが、各生産国は長年のゴム価格低迷で投資効率が低下して新規開発が鈍り、その結果として、この3年間程の生産の伸びは、年率換算で3〜4%増にとどまっている。植え付けた後、ゴム樹木の十分な生育を待つまで、最低でも約6〜7年は生産を開始することができない天然ゴムの新規開発には、多額の長期投資が必要である。フィリピン、ラオス等が新規農園の開発に名乗りを上げてはいるものの、実際に投資が行われたとしても需給に貢献するのは前述のとおり、6〜7年の生育期を待つ必要があるわけだ。

一方、天然ゴムの消費面では、アジア諸国、特に中国、インド、タイ等が自動車産業の急速な成長を背景に年々大きな伸びを示している。中でも、中国の伸びはこの5年間で69%増と驚異的である。背景となっている各国の自動車産業は、中国は今年上半期で遂にドイツを抜いて米国、日本に次ぐ世界第3位の自動車生産大国にのし上がって来ており、天然ゴムだけではなく、世界の自動車業界においても中心的な存在になっていることは否定することのできない事実である。またインドは、自動車産業に対する新規投資が新聞紙上を賑わしているし、更にタイでも東洋のデトロイトとの掛け声の下に、本年の生産は150万台に達すると伝えられている。従って、来年の天然ゴム需給および自動車の生産販売は、中国を主軸としたこれらの国の経済成長率に大きく依存するものと結論付けたい。


古井智昭氏
古井智昭(ふるい・ともあき)

丸紅(株)にてゴム原料課長を経た後、丸紅タイ国会社副社長としてゴム、米、砂糖等農水産物の取り扱いを6年半経験し、その後Marubeni International Commodities (Singapore) Pte Ltd.の社長に就任。丸紅を退社した後は、豊商事シンガポール法人の社長、そして豊商事本社の役員を歴任した。その間、SICOM(シンガポール商品取引所)の理事を6年間、大阪商品取引所の理事を6年間務めた。現在、タイ国農産物先物取引所のブローカー会社Agrow Enterprise Co., Ltd.の会長兼CEO。