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「原油価格の変動要因を考察する」

帝京大学経済学部助教授 黒崎誠氏

2007年1月19日更新

原油価格の変動要因を挙げたら切りがないほどある。その中で最大のインパクトを与えるものはOPEC(石油輸出国機構)の動向。最近やや値下がりしているとはいえ、3年ほど前と比較した現在の原油価格は、3倍前後の高値で推移している。かつてOPECは、原油価格を22ドルから28ドル程度で維持することが理想として生産調整を行っていることが公然の秘密とされた。だが、外電などの情報を総合する限りOPECは、40ドル以上の高値に吊り上げた可能性が高い。これが事実であるかは、今後の市場動向が証明することになるが不透明感が漂う一因になろう。

その一方、OPECの原油生産に限界が見えるようになっている。原油の高騰は世界経済へ深刻な影響を与え、それがOPECの経済にも悪影響を与えることから、OPECは原油価格の引き下げを目的に何度か増産に踏み切った。しかし、増大する原油需要に対応できないことが明らかになり、逆に原油価格の高騰を招いたOPECの本当の原油生産能力がどの程度なのか、さらに必要な原油を賄う能力があるのかが、これから市場動向に大きな影響を与えよう。

「原油価格は中東情勢次第」というのは、業界の常識。中東情勢が安定し原油の積み出しが順調であれば世界の原油価格も落ち着く。だが、世界第2位の原油埋蔵量を持つイラク情勢は、混迷を深めるばかりだ。当初は進駐したアメリカ軍への攻撃が頻発したが、最近では同じイスラム教のシーア派とスンニ派による内乱状態になりつつある。安定した原油の輸出は不可能と見られる。また、核開発を進めているイランに対して欧米各国は、経済制裁を行うことを決めている。これに対してイランは、原油の輸出削減あるいは停止で対抗する方針を打ち出している。イランが原油輸出を削減することになれば価格が跳ね上がる可能性は高い。さらに、イスラム系ゲリラによる石油パイプラインの攻撃情報といったように中東情勢はきな臭くなっている。原油の生産国として注目されているベネズエラなど中南米でも反米勢力が勢いを増しているなど、原油生産国の緊張は高まる一方だ。

原油価格を引き上げたもう一つの要因は中国の急速な経済成長にある。中国経済を巡っては「金融機関は巨額の不良債権を抱えるようになっている」といった情報も伝えられるが「少なくも北京オリンピックから上海万博まで現在のような高度成長が続く」というのが専門家の一致した予測となっている。先進国の経済も順調に拡大するというのが、OECDの予測である。順調な経済の回復は石油の消費拡大を招き、さらに、BRICsの経済発展と合わせて石油需要は拡大要因ばかりに占められている。


黒崎誠氏
黒崎誠氏(くろさき・まこと)

時事通信社に入社し、宮崎支局長、福島支局長、94年編集委員、2000年解説委員。04年4月帝京大学経済学部に移り、06年より助教授。著書に『世界を制した中小企業』(講談社・現代新書)『我が企業再建』(プレジデント社)『国債と財政再建』(教育社)『会社更生法と管財人』(教育社)『起業家の条件』(平凡社新書)など。その他、プレジデント、フォーブスなどにも執筆。