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「2007年の金相場を分析する上でのポイント」
マーケット ストラテジィ インスティチュート 代表取締役 亀井幸一郎氏
2007年1月4日更新
ドル建て金価格はニューヨークの中心限月でみて26年ぶりとなる高値(ザラバ732ドル)を記録したのが2006年5月12日だった。その後調整局面入りした金市場だが2007年のポイントを内部要因から探ってみよう。
まず何と言っても「ゴールドETF(上場投信)」(※)の資産増加が注目点となる。05年12月以降06年11月末までの1年間でゴールドETF全体の資産は316.30トンから588.61トンまで272.31トン増加した(プラス86%)。06年10月にはアジアで初めてシンガポール証券取引所にNY証券取引所と同じ商品(streetTRACKS Gold Shares)が上場されている。約600トンというと上位10傑に入る中央銀行の保有する金準備に匹敵する量であり、新たな中銀がひとつ立ち上がったという表現は誇張ではないだろう。ETF購入の中心は年金基金と見られており、短期的な値動きでは売買をしない長期の投資家が金市場に入ってきた意味は大きい。市場からこれだけの金現物が吸い上げられたことになり、需給を引き締める効果があるからだ。年金基金というと米国最大のカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が商品分野への資金配分を新たに始めることを決めており、その規模は今のところ最大で65億ドルと見られている。同年金基金の動向は他の年金基金への影響力が大きく、追随するところが出ると見られており、投資に際してETFも対象のひとつとなる可能性が高く、2007年もゴールドETFの資産増加は続きそうだ。環境次第では投資の急拡大も予想され、さらなる“吸い上げ効果”につながる可能性もある。
他に内部要因から注目されるのは中国の民間投資分野での環境整備が進み始めたこと。一足早く自由化が進んだ宝飾分野では価格上昇にもかかわらず需要は堅調に推移しており、中国の投資需要の伸びが今後期待できそうだ。最大の需要国インドでも経済成長に拍車が掛っており、個人所得の伸びが期待できることから価格慣れが起き価格上昇で抑えられた需要の回復が期待できる。また同時に換金売り(統計上はスクラップとして計上される)の頭打ちが指摘できる。いずれもドル建て金価格の下値を支える要素となろう。
07年は中央銀行の動向も注目を集めそうだ。それは新興国中央銀行による金準備の買い増しという形で材料となる可能性がある。すでに中国、ロシアといった外貨準備が急増中の国々の中央銀行によるドル比率の引き下げ、ユーロなど他通貨へのシフトが話題となっているが、同時に準備資産の多様化という側面から金の買い増しの意向が伝えられている。07年は、いつどのように実行されるのかが関心の対象となりそうだ。とりわけ大国ロシアの復活を目指すプーチン政権のもと、通貨ルーブルの信認を上げるという側面からロシアの買い付けの有無に関心が集まると見られる。一巡した観のある「鉱山ヘッジの解消」の動きだが、大型M&Aの進展に伴う買い戻しの動きも続きそうだ。価格面で新規のヘッジも見られるだろうが、その規模は限定的なものにとどまると見られる。
内部要因からは、以上のような基盤の上でヘッジファンドなど短期筋の売買が時に価格の“振れ”を大きくするという展開になりそうだ。
亀井幸一郎氏(かめい・こういちろう)
中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、87年マネー・マネジメント・インスティチュート(MMI)入社。92年ワールド ゴールド カウンシル(略称WGC/本部ロンドン)入社。企画調査部長として経済調査、マーケット分析に従事。98年同社退社、執筆、講演などの活動を開始。現在日経CNBCテレビにて日経CNBCエキスプレス「グローバル・ウォッチ」にレギュラー出演中。また住友金属鉱山サイトでのメールマガジン、日経マネーにて金市場「マーケット詳解」を連載中。
- (※)「ゴールドETF(上場投信)」
「ETF」とは、Exchange Traded Fundの頭文字をとったもので、証券取引所に上場して取引される投資信託のこと。更に、投資信託とは、投資家から集めた資金をひとまとめにして運用する金融商品のことである。 金ETFは金地金で運用する投資信託を有価証券化して証券取引所に上場したもの。2003年にシドニーで上場したのが最初で、その後ロンドン、ニューヨーク、ヨハネスブルク、パリで上場された。


