需要構造の変化

1999年は自動車触媒・歯科・
エレクトロニクス用で9割以上
パラジウムの自動車触媒需要(総量)は1990年はわずか9.8トンでしたが、各国の排ガス規制強化などを受けて、1999年には183.0トンまで増えました。
欧州では1993年に排ガス規制が導入され、1996年、2000年、2005年に段階的に強化されました。また米国では1995年以降、フォードがパラジウム触媒を開発したことを受けて需要が増加し、1996年以降のパラジウム価格急騰の一因となりました。
一方、エレクトロニクス部門では多層セラミックコンデンサー(MLCC)などに使われ、需要は堅調に推移しています。

2005年は宝飾部門が急増
パラジウムの需要構造は1990年代後半の価格急騰を受けて2000年代前半に大きく変化しました。自動車会社はロシアからの供給が不安定だったことを嫌ってパラジウム離れを起こし、エレクトロニクス部門ではニッケルへの代替が進みました。
2002年の需要を見ると、自動車触媒(総量)は98.3トン、エレクトロニクスは28.0トンに半減しています。その後は価格調整が進んだことで需要は回復しましたが、需要の内訳は大きく変化しています。
2005年の需要では宝飾品向けが44.5トンに急増しました。これは白金価格の高騰を受けて中国で代用品としてパラジウム宝飾品が作られたためです。またここ数年ではカナダでメイプルリーフ・コイン、中国でパンダ・コインが販売されるなど、投資需要も増加しています。
ロシアの売却動向

1990年代後半は混乱し、価格高騰を招く
ロシアは世界最大のパラジウム生産国ですが、近年まで白金系貴金属(PGM)の生産・在庫などの統計は国家機密扱いで公表されていませんでした。(JM=英ジョンソン・マッセイ社の統計は各国の輸出・輸入通関から推定した数字です)。
ロシアでは長年にわたり、輸出を貴金属輸出公団(アルマズ)が担当し、政府が毎年、輸出量を割り当てていました。しかし、エリツィン大統領時代にはクーデターが起きるなど、政情が不安定で輸出割り当て発行の事務手続きが滞ることもしばしばでした。1990年代後半はPGM輸出が混乱し、こうした事態は機関投機家などの市場参入を促し、パラジウム高騰の主因となりました。
プーチン時代に安定
プーチン大統領になると、政情は安定して輸出も正常化するに至りました。また世界貿易機構(WTO)加盟を控えて民間部門の生産統計を公開する法案が可決され、同国の鉱山会社ノリリスク・ニッケルは決算発表時に生産見通しを明らかにすることとなりました。
ここ数年、同国は実需家のパラジウム回帰を促すため、市場安定化を心がけているようです。ただ在庫の数字はいまだ発表されておらず、不安定要因のひとつとなっています。

