オプションの利用法
オプションはオプションそのものを取引する市場参加者もいますが、他の金融商品と組み合わせて使うのが一般的なやり方です。ここではそれぞれの市場参加者に合わせて具体的なオプションの利用法を説明します。
先物プレーヤー

先物市場で投資家は見通しに合わせて買い、もしくは売りのポジションをとります。ただその時の相場状況に応じて逆のポジションをとる場合があります。たとえば長期的な上昇を見込んで買いポジションを持っているものの、短期的な調整が警戒されるような場面が該当します。この場合は先物市場の違う限月にヘッジの売りポジション(つなぎ)を持つことになります。これと同じことがオプション市場でも可能です。つまり、先物市場で買いポジションを持っているときはプット・オプションを買い、売りポジションを持っているときはコール・オプションを買うことによって価格が逆の方向に動いたときのリスクを相殺できるのです(専門用語ではデルタ・ヘッジという)。
地金保有者

地金保有者にとっての最大の関心事は価格下落のリスクです。このリスクはプット・オプションを買うことによって抑えることができます。つまり、価格が上昇した場合、失うのは支払ったプレミアムにとどまります。逆に価格が下落した場合はプット・オプションを権利行使して先物市場で売りポジションを持つことになるのです。地金を引き続き保有する場合は売りポジションを買い戻して利益を確定し、手放す場合は現渡しすることになります。
一方、長期的な上昇が見込まれ、地金をさらに増やすことを検討している場合があります。地金商などで購入すればいいのですが、踏ん切りがつかず、迷っている場合はコール・オプションを買うという選択肢があります。突発的な出来事を受けて価格が急騰すれば権利行使して先物市場で買いポジションを持つことになり、地金を増やしたければ現受けすることができます。
コラム
地金保有者のヘッジ
地金保有者のヘッジで有名なのは先物市場におけるローリング(現物の売りつなぎ)です。金市場は通常、順ザヤ(期近限月の値段が安く、期先限月が高い状況)にあります。期先限月に売り建て、期近に回ったときに安くなるのを狙う投資手法です。英国のロスチャイルドや山種証券の創始者が他の市場で同じことを行い、巨万の富を築いたといわれています。ただこの投資方法は継続して行う必要があり、プロ向けのやり方です。
オプション・トレーダー

先物市場では安く買って高く売る(もしくはその逆)をすることによって利益を得ることができます。オプション市場でも同じ商いをして利益を得ることになりますが、それぞれの変動要因に大きな違いがあることに注意する必要があります。先物市場では基本的に需給が引き締まると価格が上昇し、逆に緩和すると価格が下落します。一方、オプション市場で重要なのは市場参加者の思惑です。市場参加者の思惑はIV(インプライド・ボラティリティ)に反映され、基本的にボラティリティが高ければプレミアムは上昇し、低ければ下落することになるのです。
プレミアムを稼ぐ(売り方専門)

最後にオプション市場でのプロ向けの投資手法を説明します。相場は上昇か下落、もしくは横ばいで推移していますが、継続して上昇・下落することは少なく、多くの場合、横ばいとなります。オプション市場で買い方はプレミアムを支払い、売り方はプレミアムをもらいます。ただ価格は横ばいとなる場合が多く、長い目で見ると、オプション市場における投資資金は買い方から売り方に流れることになります。売り方はこの状況を利用して利益を得ます。注意しなければならないのは価格が乱高下する場合であり、権利行使されると売り方は損失を抱えることになります。オプション市場で買い方のリスクは限定されるのに対し、売り方のリスクは無限大であり、この手法がプロ向けとされる所以となっています。

