20年で新産金枯渇?
過去6000年以内に人類が産出した金の総量は約15万2,000トンと推定され、そのうち約15%が消失したとされています。現在地上に存在する金は推定約12万9,000トンで、これは50メートルのオリンピック・プール3杯分しかありません。世界の埋蔵量は9万トンと推定されていますが、経営面で採算が取れるのはそのうち4万2,000トンで、年間2,500トン採掘すると20年もたたないうちに枯渇することとなります。海底などに未発見の鉱床があるとみられますが、新規の産出が見込めなくなれば地上在庫を再利用するしかなくなり、金の希少価値はさらに高まるとみられます。
金は緊急時の資金の逃避先
金の歴史をさかのぼると、英国で1816年に金本位制が確立し、金が世界経済に組み込まれました。その後は1971年のニクソン・ショックで終焉を迎え、通貨との厳密なつながりが薄れましたが、1970年代の石油ショックや2001年の米同時多発テロなど、政情不安が高まったときには注目されました。また欧州中央銀行(ECB)をはじめとする欧州の中央銀行15行が1999年9月のワシントン協定で金の準備資産としての価値を再確認しており、金の魅力は健在と言えるでしょう。
商品投資拡大で金市場にも資金流入
バークレイズ・キャピタルによると、機関投資家の国際商品投資は1999年に60億ドルでしたが、2006年に入ると、1,000億〜1,200億ドルに増加しました。このうち推定で約8割がゴールドマン・サックス商品指数に連動した投資商品に投資され、証券取引所で取引できる金や銀、原油のETF(上場投資信託)のほかに主要商品をバスケットにした商品指数ETFも登場し、商品市場への資金流入が続いています。240の機関投資家に対するアンケート調査(2006年12月発表)によると、2008年末の国際商品投資は3%が900億ドル以下、9%が900億〜1,200億ドル、52%が1,200億〜1,500億ドル、36%が1,500億ドル以上になると予想しました。9割近くが商品投資のさらなる拡大を見込んでおり、金市場にもその資金の一部が流入する見通しです。
東京工業品取引所(TOCOM)に平成19年7月、金ミニ金取引が導入されました。金ミニ金取引ではリスク許容度の低い市場参加者に配慮する観点から取引単位が小口化され、現金決済先物取引(受渡しはない)になりました。取引単位の小口化により、東京穀物取引所(TGE)のNon-GMO大豆(一般大豆と比べて取引単位は1/5)や大阪証券取引所の日経225mini(日経225先物と比べて取引単位は1/10)のように新たな投資資金を引き込み、金市場の裾野を広げることになりそうです。
価格の推移
価格の決まり方
金は24時間取引
金の東京工業品取引所のほかニューヨークマーカンタイル商品取引所(NYMEX)、シカゴ商品取引所(CBOT)などで先物取引が行われています。一方、現物取引の中心としては商社やブリオン・バンク(メタル取引専門の銀行)などによって24時間取引されるロコ・ロンドン(ロンドン渡し)取引があります。また英国ではロンドンの値決めで1日2回現物価格が決定されています。
金市場では実需筋によって現物が取引されるとともにヘッジファンドが先物市場で短期的な利ザヤを狙って商いするほか、商社やブリオン・バンクが市場間の裁定取引(アービトラージ)を行っています。
受渡供用品
東京工業品取引所では1キログラムの金地金の先物取引が行われています。金地金は鉱山会社や商社の販売窓口、地金商、宝飾店、銀行、証券会社、商品取引員の店頭で買えますが、宝飾品のように鑑定書や保証書などは付きません。
金地金にはロット番号、溶解業者の商標、重量や品位の表示が刻印されており、これが保証書の代わりとなっています。金地金の写真を見ると、商標にSWISS BANKとあり、スイス銀行が溶解業者であることが分かります。また真ん中に1Kiloと重量が1キログラムであることを示し、一番下の999.9とは純度99.99%(フォーナイン)であることを表しています。地金商などで買った金地金が東京工業品取引所の指定した受渡供用品であれば、先物取引の決済に使用することも可能です。


